БРП-3
Электроника МК-52向け数学モジュール。HP-41シリーズ向けの数学拡張モジュールに該当する。Электроника МК-52の拡張スロットに装着し、数学に関する関数を拡張する。
БРПはロシア語のБлок Расширения Памятиの略で、英訳するとMemory Expansion Unitとなるが、和訳すれば「拡張メモリ部品」だろうか。本モジュールは1988年に15,200個製造され、数学的な問題を解決するためのプログラムが60個格納されている。販売価格は16ルーブル。
格納されているプログラムを以下に列挙する。HP製RPN電卓ではユーザによるプログラミングが必要な関数が多数含まれており非常に興味深いが、肝腎要の本体の演算性能が悪いため、残念ながらこれらの関数を生かし切れているとは言えない。
「数学的な問題を解決するため」という割には、日本では理系大学の学部生が授業で教わる数値解析の代表的な演算手法毎に常微分方程式や数値積分を解かせるプログラムが本モジュールに含まれているのが謎である。本来これらは学部生がコンピュータに自分でプログラミング(実装)することで手法間の差を理解する必要があるもので、事前にプログラムとして購入できてしまっては元も子も無いのでは…と考えたものの、Электроника МК-52でも記したとおり、当時の旧ソ連の理系大学の学部生は、授業で気軽にコンピュータに触れるどころか、Электроника МК-52とこのモジュールを購入できるような環境ではなかったため、これらが大学の講義で使われる訳もなく、本モジュールでの存在意義が無いのだ。百歩譲って、もしЭлектроника МК-52ユーザの「数学的な問題を解決するため」というなら、最良の解を出力する演算手法を1つだけ実装すれば良いのは自明であり、尚更判らないでいる。
それ以外にも、日本で言えば中学生〜大学院生(しかも数学科)で学ぶような項目が広範囲に取捨選択されている本モジュール、購入するユーザ層としてどのあたりを狙っていたのだろうか。ひょっとすると、旧ソ連国内から上がってきた要請に可能な限り応えただけで、特定のユーザ層というものを想定すらしてない、共産主義の為せる業が産み出した、奇跡の代物なのかもしれない。
- 2次方程式の解
- 3次方程式の解
- 3次正方行列式
- 4次正方行列式
- 2つの方程式を持つ線形システムの解
- 3つの方程式を持つ線形システムの解
- 4つの方程式を持つ線形システムの解
- 2次行列の演算
- 2次行列の逆行列の演算
- 3次行列の逆行列の演算
- 3次行列の積
- 3次元ベクトルの演算
- ニュートン法による数値解析
- 複素算1(2組の複素数の四則演算)
- 複素算2(絶対値/逆数/2乗/開平)
- 複素数への特殊な演算(複素数の冪乗/羃根/ネイピア数を底とした複素数の指数演算と対数演算)
- 複素三角関数
- 逆複素三角関数
- 複素双曲線関数
- 逆複素双曲線関数
- 微分
- オイラー法による常微分方程式の解
- ルンゲ=クッタ法による常微分方程式の解
- 2次ルンゲ=クッタ法による常微分方程式の解
- 3次ルンゲ=クッタ法による常微分方程式の解
- 4次ルンゲ=クッタ法による常微分方程式の解
- 台形公式による数値積分
- 正規分布
- 6次のガウスの数値積分公式
- 端点に無限大を含む6次のガウスの数値積分公式
- シンプソンの公式による数値積分
- フレネル積分
- 正規分布による確率
- 正規分布の確率密度
- 誤差関数
- 2点間の線形補間
- 3点間の線形補間
- 乱数生成
- 線形回帰
- 双曲線回帰1
- 双曲線回帰2
- 双曲線回帰3
- 対数回帰
- 放物線回帰
- 指数回帰1
- 指数回帰2
- 双曲線関数
- 逆双曲線関数
- 指数積分
- 組み合わせと階乗
- ガンマ関数
- 不完全ガンマ関数
- 正弦積分と余弦積分
- 0次のベッセル関数
- n次のベッセル関数
- エルミート多項式/ルジャンドル多項式/チェビシェフ多項式
- 超幾何関数
- 超収束幾何
- 三角形の角度(三辺の長さ)
- 三角形の面積(一辺両端角/二辺夾角/三辺)