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HP-25E

提供: Memorandum

HP-25のACT[1]を修理したものを指す。

HP-25でも記したとおり、この機種には致命的な欠陥がある。給電回路兼充電回路の設計が雑で、純正充電池であるHP 82019A/Bが正常に装着されてなかったり、実態は2本直列の単3Ni-Cd充電池であるHP 82019A/Bの経時劣化や容量抜けなどの異常を見逃したりと、少しでもHP 82019A/Bに不備がある状態で純正ACアダプタであるHP 82024Aで給電すると、LSIやICが実装された基板に規定以上の電圧が印加され続け、その結果、必ず故障するのだ。この“事故”は現在でも世界中で頻発しているらしく、本機の扱いに慣れているはずのHP電卓マニアですら壊してしまうことが多いようだ。

こうしてACT[1]をRoasted chip[1]してしまったHP-25を、現代の半導体技術で高性能にしたACT[1]と置換することで修理・復旧させる同人キットが、ドイツのサードパーティであるPANAMATIK Ingenieurbüroから販売されているnewACTである。当時のHPはユーザに電卓修理サービスを提供しており、HP-25は底部のネジを外すことでケースを開腹できる構造であるために可能な荒業だと言える。newACTのマニュアルにあるThe idea of the “new ACT” という一文から

自分の不注意で壊してしまったHP-25を意地でも復活させたい! 序でに高性能化もチャレンジしたい!

というRPN電卓マニアの怨念が読み取れ、それを具現化したのがこのキットであることが判る。現在でも新品が購入できるが、このキットは複数種がラインナップされており、HP-25Eはそのひとつである。販売価格は80ユーロ(+輸送費)。

HP-25E化するnewACTには、HP-25の改良版であるHP-25Cにしか存在しなかった、電源をOFFにしてもスタックの内容とプログラムを消失させないCMOSメモリを実装している他、省電力機能・ストップウォッチ機能(分解能は1100秒)・オートリピート機能・マルチタスク機能・プログラムステップ数の大幅拡張(49→5,000)が実装されており、交換することでHP-25HP-25Cと同じ機能を持つようになるだけでなく、オリジナルのHP-25HP-25Cが霞むほどの高機能RPNプログラム関数電卓に化ける。

なお、HP-25E化しても給電回路兼充電回路が改善される訳ではないので、HP-25に記載した禁忌事項は遵守し続ける必要がある。

管理人は、比較的美品の故障したHP-25をHP-25E化したものがeBayに出品されていたのを偶々見つけ、慌てて購入したが、故障したHP-25とこの同人キットを入手して、HP-25E化すること自体を楽しみつつ、HP-25を高性能化するのも一興ではなかろうか…尤も、eBayをはじめとする中古市場やオークションサイトにHP-25がほぼ出品されないのだが。

脚注

  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 "ACT"および"Roasted chip"の意味はHP-25を参照のこと