TDS 512K GX RAM CARD

提供:Memorandum

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サードパーティであるTDSが発売したHP-48GX専用メモリカード。HP-48GXのスロット2[1]に装着し、RAMを512kB拡張する。

このメモリカードは「内部に装着するボタン電池CR2016で記録内容を保持するタイプ」と「内部に実装したキャパシタをHP-48GXを使用する度に充電することで記録内容を保持するタイプ」の2種類がある[2]。管理人は両タイプを所有している。

「ボタン電池使用タイプ」は概ね1年に1度は電池を交換する必要があり、「キャパシタ充電タイプ」は満充電から概ね30日で放電し切ってしまう。電池やキャパシタが放電し切れば記録内容は消失するので、これら仕様の相違を理解してから、自分のHP-48GXの使い方を踏まえて、どちらのタイプを使用するか選択する[2]ことになる。

認識方法

新品もしくは記録内容を消失したRAMカードを装着し、最初にHP-48GXの電源を入れると、液晶ディスプレイに Invalid Card Data とエラーを表示してBeep音が鳴り、正常に使用できない。これはHP-48GXがRAMカードを認識してないために起きる事象であるため、認識させれば良い。

認識させるには、 と順に押下し、PINIT を選択すれば良い。RAM容量により認識させる時間に長短あるが、液晶ディスプレイ右上に表示されるBusyアイコン〝⏳〟(砂時計)が消えれば認識完了である。

なお、RAMカードの電池が規定値以下に消耗していたり、キャパシタが放電し切っている場合は、この手順を実行した後にHP-48GXの電源を切るとRAMカードの認識状態がリセットされてしまい、その後、再度HP-48GXの電源を入れても Invalid Card Data と表示される。また、「ボタン電池使用タイプ」に限り、ボタン電池が消耗した際、液晶ディスプレイの上部中央付近にLow Batteryアイコン〝⸨⦁⸩〟が表示される。

キャパシタ充電方法

HP-48GXの使用頻度が低いにもかかわらず「キャパシタ充電タイプ」を装着していると、キャパシタが充電されるほど長時間使用しないため、充電容量より放電容量が上回る状態が継続し、やがて放電し切ると記録内容は消失する。このような事態が発生するのを防ぐには定期的にキャパシタを充電すれば良いのだが、その方法は単純にHP-48GXの電源を入れて放置すれば済む訳ではない。HP-48シリーズは無操作状態が5分間継続すると電源が切れる仕様であり、かつ、この仕様が設定変更等で回避できないからだ。

そこで、もともと実装されている「アラーム機能」を使う。アラーム機能は、指定した年月日時分秒に警報を上げるだけではなく、指定した年月日時分秒もしくは設定した周期でプログラムを走らせることができるので、「仕様で電源が切れる5分以内に『実質何もしないプログラム』を周期的に走らせてHP-48GXの電池が切れるまで永続的に電源が切れないようにする」ように動作させ、キャパシタを満充電する。

以下は「実質何もしないプログラムを4分おきに走らせる(ことでHP-48GXの電源を切れないようにする)」アラーム設定手順である。

  1. 電池の残量に不安があれば、新品の電池に交換する。
  2. と順に押下し、 SET TIME AND DATE  ダイアログをポップアップ表示させる。
  3. 時計とカレンダが設定されていない場合は、現在の年月日時分秒を設定する。
  4.  Set Alarm...  を選択し  OK  を押下する。
  5.  MESSAGE  を選択後 と順に押下し「実質何もしないプログラム」を書く。具体的には、 «  »  の間で ENTER と入力する。このプログラムは「 をNo.1スタックに積んだ後、No.1スタックをクリアしている」だけで、実質何もしない。
  6.  TIME  DATE  は、充電を実行する日の5分以内の年月日時分秒を設定する。
  7.  REPEAT  は、電源が切れる手前である  4  Minute  を設定する。
  8.  OK  を押下し、以上の設定を確定する。
  9. 4分おきに、液晶ディスプレイ右上にBusyアイコン〝⏳〟(砂時計)が表示され「実質何もしないプログラム」が走っていることを確認する。この状態でキャパシタが満充電に至るまで24時間放置する。放置時は を何度か同時に押下することで液晶ディスプレイのコントラストを下げ、液晶ディスプレイに何も表示させないようにすることで、液晶ディスプレイの焼き付きを防ぐ方策を取ったほうが良いだろう。

脚注

  1. HP-48GXのスロット1には容量が32kBもしくは128kBのメモリカードしか装着できず、それ以上の容量のメモリカードはスロット2にしか装着できない仕様である。スロット2に装着できるメモリカードの最大容量は4,096kB(うち使用できるのは3,968kB)だが、現在に至るまで実際に販売されたメモリカードの最大容量は1,024kBである。
  2. 2.0 2.1 詳細は不明なものの、「キャパシタ充電タイプ」より「ボタン電池使用タイプ」の製造数が圧倒的に少ない。事前の想定に反し、CR2016の放電容量である公称90mAhでは電池が持たなかったからか。故に、「ボタン電池使用タイプ」を購入したくとも購入できない事態が発生していたようだ。